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サプライズ満載!モダンアレンジによるスタンダードの魅力

Serendipity18 OLD TIME MODERN 2015.4.22[wed] at JZ Brat[東京・渋谷] Naomi Hammer

 ビッグバンドはこうこなくちゃ! とおもわず膝を打ちたくなる、賑やかでサプライズ満載の楽しいライブだった。  セレンディピティ18(エイティーン)といえばシロウトには手も足も出ない難曲を並べてテンションの高い演奏を繰り広げるチャレンジングなバンド、という印象をお持ちの方も多いはず。『全力ボブ・フローレンス』『超全力ボブ・フローレンス』などのバンド名の由来であるボブの楽曲を集めたライブでの活躍は、喜田太郎の筆によるレポートを再読願いたい。  そんなバンドがメンバーを大幅に入れ替え、5管tp+6木管の編成から4+5の通常のビッグバンド編成へと変更。特にエレクトリックベースからウッドベースに変えた点には注目だ。そして今回は時代を超えて愛され続けるスタンダードを「超モダンアレンジ」で聴かせる、というコンセプト。さあどんなライブになるのかとワクワクしてステージを眺めると…。あれ、サックスセクションにいるのはなんと中村誠一サンではないか!  中村サンといえば、山下洋輔・タモリらと怪しいハナモゲラ語を操りながら、かつて新宿で暴れていた(すみません、イメージですイメージ)大ベテランのサックス奏者。その様子は彼の名著『サックス吹き男爵の冒険』にも描かれ、そんな中村サンがセクションとしてマジメに?座ってることじたいがサプライズ。しかしここで驚くのはまだ早かった。なにしろ彼が最初にソロを聴かせたのはモーツァルト 『Symphony No.40 in G minor』での、意表を突く超絶技巧のクラリネットだった。さらに2stでは『When I Fall in Love』をテナーでしっとり歌い、ゴードン・グッドウィン アレンジの『Take The A Train』ではクラリネットで脅し、サックスで骨太に唸るという二刀流。さすが師匠、圧倒的な存在感を示した。 サプライズその2はゲストボーカリスト、紗理の参加。インスト色の強いセレンディピティ18に歌が入るとどうなるか? これはちょっと楽しみだった。  1st setの『Almost Like Being In Love』『Orange Colored Sky』はボーカリストの人気曲。2nd set『Only You』『Too Close For Comfort』はやや玄人好みともいえる選曲だ。ナチュラルな英語、変拍子OKのリズム感、音大ヴォーカル科を首席で卒業したという実力は『モダン』を誇るこのバンドにぴたりとハマる。昭和歌謡曲が姿を消し、アフタービートのJポップやロックが当たり前に流れる環境で育った世代にとって、ジャズはもう「特別な音楽」ではないのかもしれない。さらりと歌う紗理の世界はカワイイだけじゃない堂々たるもの。力のかからない自然体の歌声がなんとも眩しかった。  サプライズその3はビッグ・ファット・バンドなどで活躍するサックス奏者サル・ロザーノの飛び入り出演。バンマス杉山正と親交厚く、何度も来日している親日派。2nd setオープニング、ゴードン・グッドウィン編曲の『I Just Can't Wait To Be KingI Just Can't Wait To Be King』では、トランペット佐々木大輔との迫力満点のソロバトルを展開。強いコントラストを生み出す西海岸の陽光を感じさせる一曲だった。  今回、この新メンバーと多彩なゲストによるバンドのサウンドをきっちりまとめていたのは、ピアニストの板垣光弘。自身の名義のトリオやクインテットで活躍する一方、角田健一、内堀勝、高瀬龍一、羽毛田耕士らが率いる第一線のビッグバンドのピアニストとして厚い信頼を一身に受けている彼だが、この晩のキレ味は特筆に値する。リズム隊の安ヵ川大樹(b) 八木秀樹(ds)とともに、大海原に乗り込む船を高い技術と的確な判断で支えているかのようだった。そしてここぞという時の、自身を輝かせるスペースを熟知している心憎さと冷静さ。前述の『Symphony No.40 in G minor』『When I Fall in Love』からサミー・ネスティコの『Grace』、そしてアンコール『It's All Right With Me』『L-O-V-E』と、溢れるような珠玉のソロには最後まで心を鷲掴みにされた。  セレンディピティ18の演奏は、音楽的教養の深さ、そのキャパシティの広さが印象に残ることが多かった。が、今回は「全体的な印象」よりも一人ひとりの演奏の底力と楽しさによって、モダンアレンジの魅力をタイトに際立たせていたのではないだろうか。  さて家に帰ってフェイスブックを開けてまたびっくり。ライブが終わってもまだもう一つのサプライズが待っていた。紗理ってなんと中村誠一サンの娘さんだった!  杉山正と杉山奈津希、中村誠一と紗理。二組の親子の、音楽への敬愛と家族と仲間への強い信頼、このライブを支えていたのはタップリとした豊かな愛だったのか。妙にナットクしてうなずく私だった。 1st Set 1. When You're Smiling 2.On Green Dolphin Street 3.I Thought About You 4.Almost Like Being In Love 5.Orange Colored Sky 6.Cold September Morning 7.Mozart Symphony No.40 in G minor 2nd set 1.I Just Can't Wait To Be King 2.When I Fall in Love 3.Star Eyes 4.Only You 5.Too Close For Comfort 6.Grace 7.Take The A Trai AC. it's All Right With me AC. L-O-V-E

杉山 正、 佐々木大輔、 長堀 史、バラメーダ誠道 (tp) 杉山奈津希、 Steve Sacks、 中村誠一、 八巻綾一、佐々木はるか (sax) 内田日富、三塚知貴、西島泰介、堂本雅樹 (tb) 板垣光弘(p) 安ヵ川大樹(b) 八木秀樹(ds) 紗理(vo) スペシャルゲスト : Sal Lozano(as)





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